県連速報

第134号(2005.4.22)
 
お知らせ1

4月22日、食品の安全行政をすすめる懇談会は内閣府食品安全委員会に対し「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品影響評価(案)」に対する意見書を提出しました。※下記参照


2005.4.22
内閣府食品安全委員会事務局評価課内
「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品影響評価(案)に関する審議結果」意見募集担当 御中
「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品影響評価(案)」についての意見
食品の安全行政をすすめる懇談会
住所:仙台市青葉区柏木1−2−45フォレスト仙台5F
電話番号:022−276−5162
座長 齋藤 昭子(宮城県生活協同組合連合会専務理事)
構成団体
宮城県生活協同組合連合会会長理事 芳賀 唯史
仙台市消費者協会会長 小林  達子
主婦連合会仙台支部会長 勝又三千子
宮城県地域婦人団体連絡協議会会長 阿部  恒子
宮城県消費者団体連絡協議会会長 熊谷 睦子
みやぎ生活協同組合理事長 芳賀 唯史
生活協同組合あいコープみやぎ理事長 吉武  洋子
(財)みやぎ・環境とくらし・ネットワーク理事長 木村 修一


1、と畜場におけるBSE検査対象月齢の見直しについて

 
科学的に不明な点が多く、定量的リスク評価のための科学的データ−が極めて限られているために国際的モデルもできていない状況のなか、より科学的に牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品影響評価をしようという委員会の姿勢に敬意を表します。
 
「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品影響評価(案)」【以下評価(案)】の「今回のリスク評価における課題」によると「1.データ間のギャップ」「2.定量的データの不足」「3.入力データ−から出力データを順位付ける客観的基準の欠如」「4.不確実性と変動に関する考慮の欠如」が上げられています。また、SRMの除去の徹底や飼料規制の実効性の確保を強化すべきだとも述べています。
 評価(案)の結論では、「BSE検査対象牛を全年齢から、21ケ月齢以上の牛に変更した場合のリスクは非常に低いレベルの増加にとどまる」としていますが、諮問@に関して批判的意見(1)では、「輸入配混合飼料の影響は不明であり、その対策の実施およびSRM除去の対策等の強化後、月齢見直しを行うべきだ」とのべています。課題の多いリスク評価結果でもあるということもかんがみ、こちらの考えのほうが多くの消費者の思いと一致します。
 今後、リスク管理措置の変更は、これらの課題が改善されたあとに行うべきだと考えます。

2、SRM除去の徹底について

 評価(案)では、「食肉のBSE汚染リスクをさらに低減させるため、ピッシングの中止に向け、具体的な目標を設定し、できる限り速やかに進める必要がある」、「せき髄組織の飛散防止、と畜解体方法に関する衛生標準作業手順の遵守については引き続き徹底し、SRM管理措置の有効性について検証していく事が重要」としています。評価(案)で指摘された内容は、早期の実現が重要であり、食品安全委員会から厚生労働省に対して、食品安全基本法に基づく意見として述べられる必要があります。

3、飼料規制の実効性確保の強化について

 
評価(案)では、「輸入混配合飼料の原料についての届け出や飼料製造・販売等の事業者及び牛飼育農家への検査・指導体制の強化について、具体的な目標を設定し、できる限り早く達成する必要がある」としています。評価(案)で指摘された内容は、早期の実現が重要であり、食品安全委員会から農林水産省に対して、食品安全基本法に基づく意見として述べられる必要があります。

4、BSEに関する調査研究の一層の推進について

 評価(案)では、「基礎研究のみならずリスク評価に必要なデータを作成するための研究が推進されるべき」としています。科学的な判断を行うために必要な、現時点でのデータを引き続き収集・蓄積していくことが必要です。諮問@に関して批判的意見(2)において、「自主的全頭検査がなければ、若齢牛での検査成績の評価はできなくなる」と指摘しています。このことも、リスク管理措置の変更の時期を検討するための検討事項とすべきだと考えます。併せて、評価(案)で指摘された内容に基づき、より高感度のBSE検査方法開発などの推進が取り組まれることが重要です。

5、今後のBSE対策全般の評価について

 評価(案)では、「BSE対策全般について、調査、検討した結果を毎年、食品安全委員会に報告し、その評価を受けること」、また「新しいデータ−、技術革新等が得られた場合に評価の見直しを行なう必要があると考える」と述べています。このことは重要なことと考えます。確実に実行されるようにすべきです。

6、リスクコミュニケーションについて

 評価(案)では、審議の基本方針として、「消費者の信頼を確保するために、リスクコミュニケーションで提起された問題点を検討し、リスク評価にもとづく見解に反映させる努力が必要」と掲げています。しかし、専門調査会の審議では、意見交換会等で出されたリスク評価に関する意見の検討は必ずしも十分ではありませんでした。
 BSEのリスクやその対策の見直しについては、国民の間に疑問や不安が存在しており、食品安全委員会として国民の理解を深めるために、説明責任をきちんと果たす事が必要と考えます。
 加えて、意見交換会等で出された意見については、食品安全委員会としての十分な議論や判りやすい説明を行うことなどが必要と考えます

7、諸外国の牛肉のBSE感染リスクの評価について

 評価(案)の「おわりに」では、「今後諸外国におけるBSE感染リスクの評価を行う際には、総合的な評価を行うための多様なデータの存在が必要になる」と記載されています。米国産牛肉の輸入再開問題の検討にあたっては、評価(案)の記載にある様に、多様なデータに基づいて、日本と同等の総合的なリスク評価が実施される必要があります。そのためには、現地の実態を十分調査するなど、評価作業にあたって必要とされる情報等の入手が必要とされます。またこの問題に対するリスクコミュニケーションについては、関係府省の連携により、丁寧に実施されることが必要です。