586号(2019.07.19)

●7月18日(木)、消費者行政の充実強化をすすめる懇談会みやぎ主催の学習&映画「水道事業が『民営化』されたら私たちのくらしはどうなる?」に185人が参加しました

日本の水道普及率は98%を超え、豊かな水源と高い技術力によって、世界有数の「飲める水道水」を誇っています。自治体が責任もって水道を運営することで、日本国憲法第25条の生存権のひとつである「公衆衛生」が保障されています。
しかし、公共施設などの運営権を民間企業に委託する「コンセッション方式」の導入を、自治体の水道事業でも促進する改正水道法が201812月に成立しました。

宮城県は、人口減少による水道事業の財政難、老朽化した水道管などの更 新費用、職員の高齢化・減少などの課題解決策としてコンセッション方式導入による「みやぎ型管理運営方式」に向け、2016年度から準備を進めてきていますが、県民に対しての説明が十分行われているとは言えず、「水道」という最も基本的な生活のインフラについて、消費者が現状と課題を知る必要があります。  

県民一人ひとりが宮城県の水道事業の現状と課題を理解し、メリット・デメリットも含めた是非をめぐる議論が行えるよう、消費者行政の充実強化をすすめる懇談会みやぎ(略称:消費者懇)主催で、718日(木)フォレスト仙台2階第1フォレストホールにおいて、学習&映画「水道事業が『民営化』されたら私たちのくらしはどうなる?」を開催し、構成団体・一般市民など185人が参加しました。
 
はじめに、ドキュメンタリー映画『最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争―』の上映をしました。
ヴェオリア社やスエズ社など水道事業の多国籍企業を有し、水道民営化の歴史が長いヨーロッパで、住民の運動や自治体議員の問題提起によって、2000年以降水道事業が再び公営化されています。水道料金が値上がりしたり、運営に関する情報が議会や住民に開示されないなど、民営化の問題点が大きな理由です。
映画では、再公営化によって水道サービスを取り戻した自治体と、いままさに民営化を強いられている自治体の姿を、取材やインタビューで明確にしています。水道事業の様々な課題に、「民営化」が解決策となるのか、水道サービスのあり方などについて、参加者が考えるきっかけになったのではないかと思います。  

次に、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子さんを講師に、「水は誰のものか?日本と世界の水道民営化」と題してご講演いただきました。
1980年代から巨額の債務を抱えた開発途上国に、IMF/世界銀行は、公共サービスの民営化を融資の条件とし、水道民営化により貧困層に水の供給がなくなった。2010年代からは欧州債務危機後のヨーロッパでの水道民営化では、料金の高騰が起きた。一方、消費者運動により再公営化の動きが起きている。日本の水道事業が抱える課題に、「コンセッション方式」が解決策となるのか。水は地域自治の基本であることから、自分の自治体の水道事業に関心を持ち、消費者として意見発信する必要性を訴えました。


講師の内田聖子さん

会場の様子


      

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