県連速報
第409号(2014.03.17)

3月15日(土)、東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター(以下、みやぎ県民センター)主催、宮城県生協連後援による『「ひと」と「生業」の復興へのみち~宮城の水産業の復旧・復興の今と未来を語る集い~』が開催され180人が参加しました。

 宮城の水産業の復興は、岩手の「ひとのくらし、生業の復旧をやり抜く」という復興理念とは異なり、「創造的復興」の提唱で始まりました。加えて漁業への民間企業参入を求める「水産特区」導入という突如の知事の表明がありました。漁業者は、操業再開のためのガレキ処理に加えて、「特区」とも対抗しなければならない立場に追い込まれたのです。
 こうした悪条件の下でも漁業者の奮闘は、絶えることなく続いているのです。「愛する人を奪い、くらし、コミュニティ、歴史、文化を一瞬にして流し去った海だけれども、我々は今日もこの豊饒な海と向き合って生きてゆく」という漁業者の思いこそ、漁業復興の原点です。復旧・復興の主人公は、被災者自身であり、それを支える人々です。「ひと」こそが「創造的復興」の主人公であり、私たちみんなが持ち合わせている思いと立場を同じくすることを目的に開催しました。

 315日(土)、仙台弁護士会館4階会議室において開催され、医師や弁護士、学者、消費者など180人が参加しました。
 オープニングは、トランペット奏者の松平晃さんによる演奏があり、「東京ブギウギ」や「銀座カンカン娘」などのナツメロに会場の参加者は口ずさみながら、聞き入っていました。
 続いてシンポジウムが行われ、みやぎ県民センター代表世話人の綱島不二雄さんをコーディネーターに、パネラーには、宮城県漁業協同組合の船渡隆平専務理事、石巻魚市場株式会社の須能邦雄代表取締役社長、株式会社阿部善商店社長で塩釜蒲鉾連合商工業協同組合の阿部善久理事長、東北大学大学院農学部の片山知史教授、河北新報社編集局の寺島英弥編集委員の5人から、震災後の水産業の現状や沿岸部被災地域の状況などについて各々報告がありました。
 その後、宮城の水産物における価格低迷や、東京電力福島原発事故からの放射能汚染水問題に係る風評被害についてなどの意見交換を行いました。
 
報告では、「震災により漁港や流通・加工施設の損壊、そして放射能問題によって沖合漁業、遠洋漁業もダメージを受けたこと」「漁業権制度や漁村自体の成り立ちに関わる水産業の根本を揺るがすような問題(漁港集約化、水産特区、高台移転、防潮堤等)が生じていること」「漁業が生業である沿岸部漁村においては、『まずは復旧』が現場ニーズであり、大規模な沿岸部の開発を含めた復興計画との矛盾を抱えたままで、震災後3年目を迎えていること」「今後の生活基盤の見通しが立たないまま、漁業者が漁村から離れていくことが危惧されること」などが出されました。
 会場参加者からも意見・質問が多数出されました。漁業や水産加工業の復興に向けた課題について理解を深めました。

トランペットの演奏

シンポジウムの様子