県連速報
第497号(2016.10.12)

東北経済産業局に対し、2017 年 4 月の都市ガスの全面自由化における
「経過措置料金規制に係る指定」に関するパブリックコメントへの意見を提出しました。
2016 年4 月に電気小売事業が全面自由化されたのに引き続き、2017 4 月には、都市ガス小売事業が全面自由化され、都市ガス利用区域においても、他社の参入が可能となる一方、料金制度は原則として自由化(国等の審査や認可を必要とせず、事業者が自由に料金を決められる)されます。

電気小売事業の自由化の際、既存大手電力会社については、少なくとも 2020 年までは公共料金メニュー(国による審査を受ける料金体系)を残すことが義務付けられました。

しかし、都市ガス自由化の中では、「都市ガスが他燃料も含めた競合状態にある」という理由から、原則として料金規制は解除されることになりました。つまり、公共料金メニューは残さなくてもよいことになっています。ただし、法改正前の審議会で日本生協連を含む多くの消費者団体から意見書が出され、その後の審議会でも消費者代表が強く反対したことから、「一定の条件※」にあてはまる事業者については「経過措置料金」として、公共料金規制を残すことになりました。

※「一定の条件」とは、主に以下の 3 点です。

①都市ガスの利用率(地域内の世帯での利用率が 5 割を超えている)

②他燃料との競合状態(新規顧客獲得数が離脱顧客数を上回っている)

③消費者等からの意見(パブリックコメントを募集する)

これらの条件を総合的に判断して、国が料金規制を解除するかどうかを決めることになっています。 9 月 9 日に経済産業省・資源エネルギー庁より、指定する事業者案が出され、意見募集が始まりました。しかし、資源エネルギー庁の案では、都市ガス事業者 202 社のうち、「経過措置料金」を残す事業者として指定されたのは、わずか 12 (資料:PDF)にすぎず、大半の事業者は、来年 4 1 日の自由化スタートと同時に、完全な自由料金に移行します。  

この案のまま指定がされると、29 道県ではすべての既存の民間都市ガス事業者が、完全な自由料金になります。北海道、東北、中国、四国、九州のほとんどの道県で、都市ガスを利用する世帯が 100%自由料金へ移行することになります。今回指定対象となる大手 3 社(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス)以外のエリアでは、新規参入があるかどうかも不透明である一方、競合しているといわれる LP ガス料金も、ほとんどの地域で都市ガス料金よりは高いため、既存都市ガス事業者が地域の LP ガス料金並みに値上げを行う可能性があります。特に、利用量の少ない世帯の値上げが想定されます。都市ガスを利用している集合住宅の場合は、新規参入がない限り選択権がまったくありませんので、値上げに対抗する方法がありません。

宮城県生活協同組合連合会は、現実に宮城県で生活している消費者から見たとき、宮城県の古川ガス株式会社、石巻ガス株式会社、塩釜ガス株式会社が、現時点で適正な競争環境にあるとは判断できないため、当面家庭用を含むガスの小売全面自由化後も、経過措置として小売料金規制を課す対象として指定するよう求める意見を、106日(木)東北経済産業局資源エネルギー環境部電力・ガス事業課宛に提出しました。(パブコメ:PDF)

  

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