588号(2019.09.10)

●9月9日(月)消費者行政の充実強化をすすめる懇談会みやぎ(以下、消費者懇)主催の緊急学習会「私たちの水はどうなるの?~みんなの声を届けよう!~」に82人が参加しました。

宮城県は、人口減少による水道事業の財政難、老朽化した水道管など の更新費用、職員の高齢化・減少などの課題解決策として、水道事業の運営権を民間に委託するコンセッション方式導入による「みやぎ型管理運営方式」に向け、2016年度から準備を進めてきています。9月に実施方針素案の公表を行い、パブリックコメントを実施、11月県議会において実施方針条例を提案し、決議採択を受ければ、翌年の3月から募集要項等を公表し事業者の募集が開始されます。しかし県民に対しての説明が十分行われているとは言えないのが現状です。「水道」という最も基本的な生活のインフラについて、消費者が現状と課題を知る必要があります。

県民一人ひとりが宮城県の水道事業の現状と課題を理解し、メリット、デメリットも含めた是非をめぐる議論が行えるよう、消費者懇主催で、9月9日(月)フォレスト仙台2階フォレストホールにおいて、緊急学習会「私たちの水はどうなるの?~みんなの声を届けよう!~」を開催し、構成団体・一般市民など82人が参加しました。  

はじめに、「みやぎ型管理運営方式」実施方針素案について、宮城県企業局水道経営課技術副参事兼課長補佐(総括担当)の大沼伸さんからご説明がありました。参加者から、「運営権の契約を20年間にすると従業員の雇用が安定することに結びつくのか」「料金の上昇抑制は、人口減少も考慮しての事なのか」 「大事な水のことについて、県民が意見を出せるのが今回だけというのはおかしい」などの質問・意見が出されました。

次に、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子さんを講師に、「水は誰のものか?日本と世界の水道民営化」と題してご講演いただきました。内閣府は、2013年から公共施設の運営について民営化を可能にするコンセッション方式導入を各自治体に促進してきた。水道が抱える課題と して、水道管路の老朽化があげられるが、現場ではきちんと現状を把握している。課題克服のためには、 拙速にコンセッション方式導入で民間に運営権を売却するのではなく、水道事業を人口減少・節水型社会に対応するため、施設の統廃合などのダウンサイジングを行うことが先である。自治体の職員数は30年で4割減少しており、広域連携で、国・県・自治体の役割分担を明確にし、市町村水道事業の基盤強化や 支援策を考える必要がある。県の水道事業にコンセッション方式を導入することにより、すべての問題が解決するわけではないことをお話しされ、1人でも多くの県民がパブコメを提出することの必要性を呼びかけました。水道事業の現状と課題、あり方について理解を深める機会となりました。

宮城県企業局水道経営課技術副参事兼課長補佐(総括担当)の大沼伸さん

講師の内田聖子さん


      

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