603号(2020.02.01)

130日(木)「消費税率引き上げをやめさせるネットワーク宮城」主催で講演会を開催しました。

10月の消費税増税実施以後、家計はさらに冷え込み、実質賃金も下がり続けています。そして、台風19号の影響による家屋の浸水被害、農業、土木関連の被害、林業関係の被害は深刻な状況になりました。増税に加え「複数税率」「キャッシュレス決済」への対応が中小業者に重い負担となり、地域経済に深刻な影響を広げています。各種経済指標も軒並み悪化しており、国民生活とわが国経済の先行きに多くの国民が不安を募らせています。
安倍政権は、増税を実施して以降、病床削減や医療・介護の負担増といった社会保障抑制策を打ち出しました。消費税の導入以来繰り返されてきた「社会保障のため」という政府の説明が国民をあざむく大義名分でしかなかったことを証明しています。

このような中で、130日(金)エル・パーク仙台5階セミナーホールにおいて、消費税ネット主催による講演会を開催しました。生協、消費者団体、日専連、宮商連などの関係者、事業者、一般市民など約100人が参加しました。
大越健治代表世話人(みやぎ生協専務理事)の開会挨拶後、東京大学名誉教授の醍醐聰さんをお迎えし、『教えてダイゴ先生♪消費税の疑問にお答えします!』と題してご講演いただきました。

消費税が社会保障の充実にあてられたのは増収分の20%にしか過ぎず、半分以上は『後代の負担の軽減』を理由とした国債の利子の負担に回っている。財政再建のために消費税増税を使うのではなく、消費税増税とともに行われてきた法人税と所得税の減税をもとに戻すこと。諸外国と比べて日本の間接税が低いという政府の説明は、標準税率の比較であって生活必需品を見ると、特に食料品は税率0や非課税の国が多くある。消費税の逆進性の対応策として導入された軽減税率だが、総務省の家計調査のデータを分析すると、二人以上の勤労世帯では月平均1,100円程度、単身世帯では580円程度と軽減には程遠い状況。消費税が悪税である理由として、想定どおりに価格に『転嫁』できる保証がなく医療機関やイートイン(10%)をイートアウト(8%)に揃え8%に据え置くコンビニが増えてきている、転嫁できない消費税の『隠れ負担』がある。
消費税を減税するための代わりの3つの財源提案として、①下げ過ぎた法人税率を戻す②高額所得層に富裕税を設ける③大企業の留保利益に課税をすることに関して、様々な文献や資料に基づきご説明されました。「企業の内部留保益の中には、企業の経営努力の結果というよりも、給与の抑制、低賃金の非正規雇用の拡大など、著しく不公正な社会的要因によって積み上がった部分が少なくない。膨らんだ企業の留保利益を、子育て支援や公的年金の底上げなどに充てる社会還元が今求められている」と強く訴えられました。

消費税のもつ基本的な問題点を学習し、消費税率引き上げ反対の運動をすすめていくことを確認できた講演会でした。
三戸部尚一代表世話人(宮城県商工団体連合会会長)の閉会挨拶で終了しました。

講師の東京大学名誉教授の醍醐聰さん
『教えてダイゴ先生♪消費税の疑問にお答えします!』と題してご講演いただきました

 



     
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